組のちから
第3回 新井組

ROBOTで働くということ

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吉上:CM制作に関して言えばあくまで広告なので、作品を作るっていうこととは違うものが求められるんですよね。そういう意味では、どうしたら商品が売れるかっていうことを真摯に考えられるかどうかっていうことがまず大事になってくる。そのうえで面白いもの、新しいもの、よりよいものを考えていかないといけないので、大変な仕事なんですよね。

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松本:広告系の映像なのか、そうじゃないのかでもまた違うんですけど、同じ映像でも広告をメインでやりたいということであれば、いろんなことに興味を持って、いろんなことにチャレンジして視野を広げるっていうことがまず大事かなと思いますね。あと作品を作りたいのであれば、今や誰でも映像を撮れる時代なので、自分らしさをとことんまで突き詰めるしかない。人と同じことをやっていたら駄目なので、そこは大事だと思います。

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川崎:すごくたわいもないこと言うと、会話のキャッチボールができることが大事なのかなって。すべての仕事に言えることでもあるんですけど、やっぱり意志疎通をちゃんと図れるかどうかなんですよね。僕自身、学生の頃は引っ込み思案で、社会人になって自分がしゃべるしかないっていう状況を経験していくことで構築していったところもあるんです。だから社会人になってからでも遅くはないんですけど、人の話を聞いて、それをちゃんと咀嚼して何を返すかというところは本当に大事だなと。あと、相手に伝わるように説明するという姿勢ですよね。風愉さんはそれが上手で、意志をすごく感じるんですよ。

松本:打ち合わせの場で出してくるラフコンテの絵がうまいかっていうと、決してそんなことはないですからね(笑)。それでも頭の中できちんとすべてが出来上がっているから、説明してくれる言葉だけで伝わる。

吉上:うん、伝わる。本当、説得力があるんですよね。

川崎:ディレクターに「分かんないけど、こういうのありですかね?」って言われてしまうとこちらも不安になるんですけど、「これです!」って言われると「はい」って。

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新井:自分ではそこは分からないですけどね(笑)。これは僕のやり方で、僕だけの意見でしかないんですけど、広告業界は割りと今の流行りはこれだからっていうのがあるんですね。そこでいろんな人がいろんな意見を言ってくる。もちろんその中にいい意見もあるんですが、そもそも映像が好きで、自分の目指す面白い映像を作りたいということで入ったのであれば、理想を追いかけるみたいことも大事なんじゃないかなって思います。 僕自身、今作っているものが、もしかしたら昔の浮世絵みたいに残って、映像というものの歴史を変えることになるんじゃないかっていうくらいのことを考えながら作っていたりもするんです。そういうことを考えられる人じゃないと、続けることがきつくなってしまうんじゃないかなとも思うことがあります。目先の流行りにとらわれずに、もっと遠いところを見るっていうのも大事なことだと思います。

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 これからも頑なにいいものを目指し続けて、柔軟に進化を続けていくに違いない新井。そんな新井を育てた場でもあるROBOTという会社についてきいてみた。

新井:CMは<作品>じゃないっていうのは大前提ですが、そうであってもその中でちゃんといいものを作って世の中に出したいっていう根本が、ROBOTには社風としてある気がするんです。パートナーであるプロデューサーはもちろん、制作部のみんながそれを大事にしていて、視野の広さがある。そこはすごくいいところだと思いますね。

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 まだまだ尽きない、クリエイティブをめぐるトーク。作品づくりにはディレクターはもちろん、プロデューサーもなくてはならない存在。では、プロデューサーは、どのようなスタンスで仕事をしているのか。
 以降、プロデューサー編と題し、新井を支えてきたプロデューサー側の目線で紡ぎます。

プロデューサー編