組のちから
第3回 新井組

驚かされること必至の新井の仕事

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松本:ROBOTのCMで最初に風愉くんと仕事をしたのは、この中だと僕になるのか。

新井:『PASMO』ですよね。でもCMではないですが、仕事で言うと『PASMO』よりも先に吉上さんと幼児教材のDVDをやってるんですよ。

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吉上:やりましたね。子供がずっと飽きずに見られるものを作りたいっていうことで、お願いしたんです。風愉だったらアニメーションと実写をうまく合わせることができて、教材として必要な要素をうまく入れ込みながら、上手にまとめられるんじゃないかというのがあって。

新井:たぶんクライアントの方は、完全なアニメーションを求められていたと思うんです。それなのに僕はそこで実写の企画を出してしまって(笑)。こう言ってはなんですが、好き放題やらせてもらいました(笑)。

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吉上:でもそこも狙いのひとつで、風愉に頼んだらさらに企画を発展させた面白いものになるかなという期待感もあったんです。そういう意味では、期待どおりでしたね。

入社初期に手がけたTVCM『PASMO』

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松本:もともと風愉くんの作ったものを見てすごいなと思っていたんですが、その教材映像を見て『PASMO』のCMもお願いしました。最初の企画では、街角の風景にただカードが平面的に合成されているだけだったんです。それを擬人化して、CGで立体的に跳びはねるっていう形に風愉くんが持っていってくれて。

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TVCM『PASMO:あの街もこの街も篇』(2007)

新井:僕、そのときに演出コンテを2本持っていって、AとBのどちらかを選んでくださいって言ったんですよ。そうしたら、「両方作りましょう!」ってなって(笑)。

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松本:そうだった。気づいたら2本作ることになっていて(笑)。風愉くんは、なんかすごく説得力があるんですよ。すごく変わったアイデアでも、話を聞いていると、絶対にそっちのほうがいい、面白いものになりそうだって思えるから、驚かされながらつい説得されてしまう(笑)。
 『PASMO』でも普通はグリーンバックを使うところなんですけど、一切使わないでやっていて。確かにそれで新しい、あんまり見たことがないものが生まれるんですよね。

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新井:僕としては、手掛けるものに自分のしるしを絶対に入れたいだとか、企画を裏切りたいというこだわりはないんですよ。ただ、テレビで流れたときに、それを自分自身が新鮮に思えるか、面白いと思えるかって考えると、ちょっと変なほうに流れていってしまうんです(笑)。

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川崎:どうしてもプロデューサーという職業上、効率や安牌(あんぱい)を求めてしまうところがあるんですけど、一方で演出家が入ることによっての化学反応をもとめているところもあるんです。風愉さんは丁度そういった期待というか、思ってもみないものを出してくれるんですよね。

プロデューサー編