組のちから
第3回 新井組

高みを目指して変わり続ける

 常にさらなる新しいもの、面白いものを目指し続けているという意味で、変化を続けている新井。仕事のやり方自体にも変化があると語るが、それはさまざまな人との関わりの中で変わってきたものでもある。

新井組-Photo

新井:仕事のやり方自体は、結構どんどん変わっていると思いますね。もともと自分で映像を作っていたので、最初の頃は全部自分でやらないと気が済まないというのがあったんです。割りとこじんまりしたものをやっていたこともあって、カメラも自分で回して、音楽も自分で作ってみたいな形で進めていて、人を使うことが全然できなかったんです。
 それでなんとなくコンピューターを使ってアニメーションを作る人みたいになってきてしまって、それはイヤだなと。そこで一回切り替えて、人と一緒にやるっていうことにしたのが自分にとっての第2期ですね。その後、なぜかコマ撮りの仕事が増えてきていて、コマ撮りの時期が第3期 (笑)。そこに定評があるんだとしたら、それはそれでありがたいことなんですけどね。

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吉上:ある日、「もうひとりではやらないです」って言われたときがあって、そうなんだって。

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新井:自分ひとりでやっていたのは、たんに昔はコミュニケーション下手だったから止むに止まれずっていうところもあったんですよ。でも、もともと実写の映像で幅広く面白いことをやっていきたいというところから始まっているので、人と組んでできることの可能性や面白さももっと追求していきたいというのもあったんです。ただ、それは周りにはっきり言わないと、1人でやりたい人で、1人でできる人だと思われてしまって、分かってもらえないじゃないですか。だから自分から言うようにして。そういう意味では、変わってきたというよりも、変えてきたという感じなのかもしれないですね。

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松本:変わってきたとは思いますね。こないだタレントさんの仕事を風愉くんにお願いしたら、ものすごくうまくコミュニケーションを取っていて。ベテランになったなって(笑)。

新井:ベテランはイヤだな(笑)。どうしてもずっと仕事を続けていると、ひとつの流れみたいなものに陥ってしまって、“本当に自分はこれをやりたかったんだっけ?”みたいなところに入っていくことがあるんですよね。そこでスタンスを変えずに、さらにその中で面白いのを追求していくというのもひとつのやり方だとは思います。でも、そこが僕の頑ななところで、方向転換しなきゃいけない気持ちになってしまうんですよね。

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 頑などころか、方向転換もいとわないということは、柔軟でさえある。いいものを求めるために、作り手にとって大事なものとは何なのか。プロデューサー陣、そして新井に、これからこの業界を目指したいと思っている人たちへのアドバイスも兼ねて、それぞれが大事にしている価値観を話してもらった。

プロデューサー編