組のちから
第4回 森清組

森清が歩んだキャリアを振り返って

森清の経歴をたどれば、多摩美術大学に在学中から自主映画の制作をしていて、そこから広告の道へ。

森清組-Photo

森清:就職時期になって、記念受験で大手広告代理店のアートディレクター職を受けたんですよ。そうしたら予想に反して最後のいいところまで行って、“意外とこの業界向いてるんじゃないの?“って言ってもらえたことがきっかけですね。その頃に読んだ広告業界の雑誌で、僕の師匠でもある守本亨さんが「CM制作とは文化祭みたいなもんだ」って言ってて。みんなで力を合わせて、どういう出し物がよくて、どういう準備をしたらいいのか作っていくものなんだって柔らかい感覚で語ってくれていて、この業界っていいなって思ったんです。ROBOTという会社も、もともとは知らなかったんですよ。『踊る大捜査線』とかの映画を手がけている会社だっていうことも、リクナビ経由で行ったHPで知ったくらいで。でもなぜか縁あって試験を受けて、入社するに至ったんですよね。

「転校生を馴染ませる在校生が如く」馴染ませる

森清とその演出、そして〈森清組〉を語るうえで欠かせないエピソードをもう1つ。取材にも参加した中途入社で人見知りを発揮していたという野村梓二にいち早く声を掛け、森清がまわりに馴染ませたという。

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野村:本当に人見知りだった僕をここまで成長させてくれたのが森清さんなんですよね(笑)。

森清:馴染ませるのは好きかもね。小学校5年のときに北海道から引っ越してきたマツダくんで経験してるから (笑)

と、とぼけながらも、森清はPMとディレクターの関係を次のように語る。

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森清:PMとディレクターって、こんな濃密なのにお互いを任命しない関係なんです。例外はあるけど。プロデューサーが引き合わせ役なので、初対面でスタートすることも多い。そもそも自分がすごく人見知りだったから、逆にやって欲しいことをやってるだけですけど、CMの現場はとにかく期間も短いので、コミュニケーションがうまくいかないと本当に立ちいかなくなってしまう。空気作りやスタッフのモチベーションも気にしつつ、作品も見たことないものとしてたどり着かせなきゃいけない。だから頭は使うんですが、そうやって考えて想定することがなにより好きなんでしょうね。

「組のちから」も演出して見せる監督

森清組-Photo

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森清:その人が普段出したことのない表情を出したいっていうところに興味があるんです。それは制作部に対しても同じです。普段暗いかもしれないけれど、僕の前だけではこんな部分も見せて欲しいなって思ったりして。人を撮るのが好きだし、人に興味があるんです。ディレクターによっては現場に笑顔は要らないって考える方もいるはずで、それはそれで正しいと思います。笑ってればいいわけじゃないけれど、せっかく一緒にチームとしてやって一時でも同じ時間を過ごすんだから、僕はなるべくみんな楽しくできたほうがいい。だからPMのみんなが今、何を感じているのか、とても興味があります。実は今回彼らを呼んだのも、そういった理由があります。

今回のインタビューには、「PMの本音を知りたい」という森清の隠れた目的があった――。
以降「プロダクションマネージャー編」と題し、森清がROBOTのPMたちの本音とそのモチベーションに迫まります。

PM編