組のちから
第7回 耶雲組

映像ディレクターという稼業はお座敷芸者である!?

耶雲組-Photo

 耶雲が、ゴールを共有するためにスタッフとすることは何だろうか。実は先ごろオール中国スタッフによるショートムービーを現地で手掛けたばかり。その際はSNSを通じたコミュニケーションが武器になったのだとか。もちろん意見を言い合えて、意志の疎通が出来るだけの人間関係や空気感の下地も大事になってくる。

耶雲:初めましての相手のときは、緊張させないようにまず相手を褒めます。そこはもう、芸者みたいなもので、このお座敷を何とか盛り上げないと!って(笑)。往年の大島渚さんのように、威厳を持って周りに接してドアの閉め方の音から計算して現場を引き締めるみたいなメソッドもあるわけですが、そういうタイプではないですし。いい出来上がりのために、一番効果を上げるやり方を考える。そういう意味ではいつか大島渚メソッドを使うこともあるのかもしれないけれど、僕がやっても効果がないだろうなぁ(笑)

 冒頭で言っていたように、映画監督としてはまだ3本目。今後の抱負を聞いてみた。

耶雲:そろそろ自分の“組”というものを固めてみたい気もします。例えば現場のスタッフさんじゃなくても、毎回同じ脚本家の方とやってみるというのも面白いかもしれない。ただ、常に新しい人たちと新しいことをやっていたいという思いもあります。映画はもちろんですが、お話があればこれからもいろいろなことをやってみたいですね。それができるのも、ROBOTという会社にいるからというのはあると思います。
新しいことを楽しむ気持ちというのは、この会社だからよけい強くなったというのはあるかもしれない。ROBOTはいい意味で、ぬるま湯。適温で思ったことをやらせてもらえるだけに、そこからさらにもっと熱くしていくか、冷たくしてしまうかは自分次第......って、また意識高い系みたいなこと言ってますかね!?(笑)でも本当にそうだと思うんです。今後も、チャレンジは続けていきたいですね

 主に映画業界で使われる「組」というチーム呼称やものの見方で、さまざまなチームのちからの源泉や、組織論、コンテンツプロデュース論などを浮かび上げらせる、連載インタビュー「組のちから」。 耶雲哉治に話を聞いてわかったことは、その柔軟さとそのぶれなさ。現場作りともの作りにはこだわり続ける、芸者ニッポンの外人部隊が、これからどんな独自の耶雲組を築いていくのか楽しみなところ。

耶雲組-Photo

テキスト:渡辺水央写真(ポートレート):石井健

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