HAG2014 制作現場より

結果発表

HAG マナーCM部門グランプリ インタビュー

HAG2014で見事、マナーCM部門のグランプリに輝いた、なぽちかはるこさん。
圧倒的なプレゼンテーション力で、グランプリを勝ち取ったなぽちかさんの制作現場にお邪魔し、アニメーションへの想いを伺いました。

HAG マナーCM部門グランプリ インタビュー

『WEBサイトでHAGのことを知りました。
その時は半分絵を描く仕事を諦めていた時だったので、
これに応募して踏ん切りを付けようと思いました。』

ーHAGに応募したきっかけは?
WEBサイトを眺めていた時に、HAGのことを初めて知りました。その時は絵を描く仕事を諦めかけていた時期だったので、これに応募して踏ん切りを付けようと思いました。これでダメだったら諦めようって考えていたんです。区切りにするんだったら、思い切り楽しんで、前からやってみたかった紙のパペットを作ろうと思って。これで反応してくれる人がいれば先に繋がるし、いなかったら自分の技量が足りなかったんだなって納得がいくかなと。そんな気持ちで応募しました。

HAGさんみたいに手厚いサポートをしてくれるコンテストはないなと感じました。新しい作家を見つけて、若手の技能の底上げというか、若い作家の育成をしていこうという姿勢がとても誠実だなと思いましたし、仮に私は受からなくても、そういう人をこれからもサポートしていってもらいたいなという思いはありました。

ーHAGで最終候補に残り、人前でのプレゼンテーションなども経験したかと思いますが、いかがでしたか。
プレゼンテーションの前に事前講習会があって、生で、映像の仕事をしている方とお話する機会が与えられたのはすごく良い刺激になりました。初めて現場のプロに認められるという喜びも得られましたし、次の作品を作るエネルギーにもなりましたので。事前講習会でみなさんとお話しできたのは私にとってはすごくポジティブないい思い出になりました。
8月の最終選考プレゼンテーション時には、作品展示のチャンスも与えていただいたので、作品を見て、こういう人なのかなという想像を膨らませてくださった方もいらっしゃいました。アニメーションが好きで集まった人たちと交流が出来る機会があったおかげで、自分が社会的に評価されるっていうのはやっぱり嬉しかったです。若手作家として社会から認められるまでには時間がかかると感じています。それでも、作家なりにプライドがあって、それは表現していきたいけれど見せる機会がない。そういった欲求を十分満たしてくれる機会になったと思います。

ーHAGで出会った人との交流はありますか。
はい、おかげさまであります。最終プレゼンテーションで知り合った他の候補者の方に、今回、作品制作を行うに辺り、アドバイスや協力もしてもらいました。アニメーションを作りたいとか、音楽を作っていますとかそういった方と交流する機会を自分で作ることがなかなかできていなかったんですが、今回最終候補者のみなさんとお会いできて、本当に心強く思いましたし、私は一人じゃないんだって、勇気をもらいました。

●作品作りについて

『現実にはありえない世界を、自分が見てみたかった世界を
 作れるようになったのがすごく楽しかったです。』

ー今回の作品について、やりたかったこと、苦労したことなど、聞かせて下さい。
元々切り絵が好きで、この半分立体になっている紙の人形が動いたら、子供の頃の自分ならどんなに嬉しいだろうと思って、まずはそれを動かす事を目標にしました。作っている内に紙だけじゃなくて、他にもビーズとか、レースとか、リボンとか、もっと素材や質感の違う素材を合わせていくことで、より現実にはありえない世界と言いますか、自分が見てみたかった世界を作れるようになったのがすごく楽しかったです。
苦労としては、実際に頭の中に描いている事柄と現実的な技量とのギャップを埋めることでした。最初の障壁は、まず撮影台を組むところから。材料は何が最適か、どんな大きさのガラスにするのかも手探りでしたし、予算内でどう解決していくのかとか、カメラがシャッターを切る度に揺れてしまうっていうアクシデントを解決するのも苦労しました。

今後の意気込みとしては、より滑らかな人形の動きを追求していきたいと思います。これってどうやって作っているの?とか、紙の人形とは思えない動きをしているねって言われるようになりたいので、もっと色々自分で経験を積んでいきたいです。

HAG マナーCM部門グランプリ インタビュー

自宅のロフトの壁を黒く塗り、
制作・撮影ルームに改造するところからスタートした。

様々な素材を使って制作されたパペット

ー今回はお仕事としての作品作りということで、予算が与えられて、
 それを管理しながらの制作でしたが、いかがでしたか。

予算を管理するというのが初めての経験でした。最初にぶち当たったのが、撮影環境が整っていないという問題でした。限られた予算の中で、機材だけでなく、プロデュースやMA、材料、スタッフの費用などたくさん内訳があるなかで、機材をどのレベルのものにするかを決めるのに最初に色々勉強しました。
2つ目は、スタッフの問題でした。地理的に、東京ではないので、呼びこむのが難しかったのと、報酬の折り合いをつける交渉がなかなか難しかったです。予算内の日数におさめるように配分したり、手伝ってもらう日数を減らしたりなど、色々苦労しましたが、いい経験になりました。

ー地方で東京の仕事を受けて、制作することについてはどうでしたか。
一番ありがたいなって感じた事は、みなさんがすぐSkypeでのミーテングを申し出てくださったのがすごく助かりました。Skypeを通してパソコン上でみなさんと顔を見てお話して、移動はしないけれども時間を作ってくださって実際に声をやり取りができるっていうのは本当にありがたく思いました。

『希望を失わないで、あなたは一人じゃないんだよっていうことをテーマに
 多くの人に希望をもって貰えるような作品を作りたいと思っています。』

ー今後、挑戦していきたいものはありますでしょうか。
ガラス板を使った平面アニメーションに加えて、張子のような紙の人形のアニメーションや、立体のパペットアニメーションをミックスさせた作品に挑戦してみたいです。
脚本にまとめるまで数年あたためてきた作品があります。世の中には突然の別れが存在します。それは本人にとっても、当人を愛する人々にとっても胸かきむしられるような出来事だと思います。私がそういったストーリーを描く権利はないかもしれません。それでも小さな希望の光があることを伝えたいです。普段身近にいてくれる人、いつも何気なく挨拶しているような人がどれだけ心の支えになっているか。自分にも明日があると思えるのは心の支えになってくれる人たちのお陰だと思っています。私の場合は家族も友人、そしてHAGをきっかけに、わざわざ遠出していらしてくださった皆さんが私の生きる力になっています。できるだけ希望を失わないで、あなたは一人じゃないんだよと伝えられるような作品を作りたいと考えています。

様々な試行錯誤を重ねながら作り上げた、なぽちかはるこさんのマナーCM部門グランプリ受賞作品
『パニックスクリーン』は、2016年2月まで全国のイオンシネマにて、上映中です。
次の作品では、どんなアニメーションの世界を見せてくれるでしょうか。
進化し続ける なぽちかはるこさんの創作活動にこれからもご注目ください。

制作現場よりTOP

ページトップへ