組のちから
第2回 小泉組

プロデューサーとラインプロデューサーの違い

小泉組-Photo

巣立:『幕が上がる』(2015年/本広克行監督)という作品でラインプロデューサーをやらせていただいて、会社から次はプロデューサーだっていうことは言われていたんですよ。『幕が上がる』は作品のクオリティが本当によくて、多くの方に評価していただいたので、プロデューサーをやらせていただけたのかなって。自分ではまだまだと思っているので、運ですかね?(笑)

小泉:ステップアップする機会がめぐってくるときって、往々にしてそういう感じなんですよね。いるべきところに、いるべき時に、いたっていう。

巣立:早くプロデューサーになりたいとは思っていたんですよ。制作部から叩き上げでやってきた人間として、頑張ればみんなもここまで来れるんだよっていうことを後輩たちに見せたかったんです。

小泉:順当だなって思いましたよ。恭平さんとにかく実務能力が高い。がっつり支えてくれていて、すごく信頼してますし、信頼してもらっているとも思うので、安心感があるんですよね。今回、プロデューサーっていう立場になったので、現場で常に傍らにいるという感じではなかったんですよ。ただ、プロデューサーは現場においては目立っちゃいけないというか、なるべく僕の視界に入らないでいることで、逆に仕事をしていることが分かる立場でもあると思うんです。現場外のところで、いかに暗躍しているかっていうことが大事(笑)。あとからほかの人に、見えないところで恭平さんがどう立ち回ってくれていたかを聞くっていう。

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巣立:暗躍はしてないですからね(笑)。僕もこれが初めての長編のプロデューサーということで、皆さんに「1年生ですので、助けてください」って正直に言ったんです。「その代わり、皆さんの意見は全部何でも聞きますので、話し合いながらやりましょう」と。そこからスタートすることができたので、逆によかったのかもしれないですね。気を遣わせて負担を掛けてしまったところもあるのかもしれないですけど、皆さんが助けてくれて、力も出し切ってくれて。

小泉:ラインプロデューサーはお金の管理をしながら現場を円滑に回すことが仕事ですけど、プロデューサーは全体を見るものなので、スタッフだけじゃなくてキャストも見ないといけないし、もっと言うと現場以外のこと、映画というプロジェクト全体にも気を配らないといけないんですよね。もうひとつ違うところとして、事前段階でホン打ちと呼ばれる脚本の打ち合わせにも参加することになる。慣れないことも多くて大変だったと思いますよ。

巣立:視点も違うし、視野も違うし、意見の言い方も変わってくるんです。作品をどう売っていくのかっていうところまで考えないといけない。エンタメっていうROBOTが得意とする分野にこの映画を持っていくまでのところでも苦労して。あと若いスタッフが多いだけに、若いなりの浮き沈みみたいなものもあって、それをコントロールするのも意外と苦労したんですよ。

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