組のちから
第2回 小泉組

食事にこだわる現場

小泉組-Photo

巣立: 自分の中で常に現場のテーマになっているのが、食事なんですよ。食事に愛情がないととめちゃめちゃ怒ります(笑)。現場でみんなが一番楽しみにしてるものって、結局そこなんですよね。僕は本広組をずっとやってきたんですけど、本広組は食事を本当に大事にしていて、現場の生命線なんです。でもそれはほかの組も同じで、食事はみんなをつなぐものでもあって、そこで現場も和やかになるんですよ。それだけに、よけいに楽しいものでないといけないんですよね。みんなでしゃべりながら同じ場で同じ物を食べて、美味しかったら会話も弾んでいく。

小泉:いや、今回の食事は100点だったんじゃないですか。

巣立:ありがとうございます(笑)。例えば地方ロケの場合、僕はいつも「地元の食事で楽しませてくれ」ってお願いするんです。今回行ったあわら市(福井県)では地元のお母様たちが炊き出しをしてくれて、近江(滋賀)や足利(栃木)でも土地のものを出していただいて。まさにそういうことなんですよね。あと地元の食事ってなると、地元の人たちも巻き込めるっていうメリットがあるんですよね。そこで作品のこともより知ってもらえて、より身近に感じてもらえる。せっかくロケでお邪魔するんだったら、勝手に来て撮影して帰っていくんじゃなくて、参加型にしてみなさんにも協力していただきたい。小さいようだけれど、実は大きな話で、それが僕は映画づくりだと思うんです。この作品に携われて楽しかったねって思っていただけたほうがいい。そこは気を遣っている部分ですね。

小泉:録音部が拾う音をヘッドホンをして聞いてるんですけど、今回は役者のお腹がよく鳴ってましたね(笑)。そんなに大きな音じゃないので、イヤホンを通してやっと聞こえるくらいなんですけど、グーッて鳴ったなって。現場でよくいい匂いがしてたから、釣られたのかもしれないですね(笑)。

巣立:楽しんでもらえたのかな(笑)。食事は目と耳と鼻でも楽しめるもので、それだけでみんなの気分も上がってくるので。監督の演出も大事ですが、食事の演出も大事なんですよね(笑)。

小泉組-Photo